生活習慣病とは

長年に渡る生活習慣(偏食・過食、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなど)の蓄積によって発症に至る病気を総称して生活習慣病といいます。代表的な疾患として、糖尿病、高血圧、脂質異常症などがあります。
生活習慣病はなぜいけないのか?
全身の血管に動脈硬化が生じ、その結果全身の血管に関連した疾患につながります。具体的には、脳卒中、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、心不全、慢性腎臓病、閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)などです。このような血管関連の疾患はADL(日常生活動作)を落とし、生命にも影響が及ぶようになります。
放置されがちな生活習慣病
それなのに生活習慣病は放置されがちです。というのも、ただ血圧が高い、悪玉コレステロールが高い、血糖が高いといっただけでは、症状がでにくいからです。実際、わが国では全人口の約33%にあたる約4300万人が高血圧と推定されていますが、そのうち治療を受け、コントロール良好である人はたった27%とされています。言い換えれば残りの73%は高血圧に対してちゃんと対応ができていないのです。放置されている間にも動脈硬化は進行し、知らず知らずのうちに体がむしばまれていきます。この変化は元に戻すことはできず、症状がでるようになってからではもう遅いのです。
動脈硬化性疾患から体を守るためには
動脈硬化性疾患の危険因子は以下のようなものが言われています。
- 加齢
- 性別(男性)
- 糖尿病・耐糖能異常
- 高血圧
- 脂質異常症
- 喫煙
- 慢性腎臓病
- 冠動脈疾患の家族歴
- 肥満(内蔵型肥満)
脂質異常症があるということは、高血圧や糖尿病もある可能性は十分あり、これらを個別に考えるのではなく包括的に管理して、動脈硬化の進行を少しでも食い止めていくことが重要です。さらには手遅れにならないうちに早期の対応が必要です。つまり予防です。定期的に健康診断を受ける、日頃の生活習慣を見直すなどの対策をとることで、発症リスクを低減させることができます。
高血圧、脂質異常症、糖尿病それぞれの基準と目標値
高血圧
診察室血圧(医療施設や健診の場などで測定された血圧)
収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上
かつ/または
拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上
家庭血圧の場合は135mmHg以上かつ/または85mmHg以上
基本的には診察室血圧だけでなく家庭血圧も確認して、高血圧の確定診断を行います。
降圧目標は年齢や抱えている病気によって、目標値が異なります。
脂質異常症
診断基準
- 高LDLコレステロール血症
- LDLコレステロールの数値が140mg/dL以上
- 高トリグリセライド血症
- 中性脂肪(トリグリセライド)の数値が150mg/dL以上
- 低HDLコレステロール血症
- HDLコレステロールの数値が40mg/dL未満
この基準は薬物療法を開始するためのものではありません。
脂質管理目標値も血圧と同様に、各個人のリスクの高さを評価して、それぞれで目標値が異なります。
糖尿病
糖尿病型
-
- 血糖値:空腹時≧126mg/dL、OGTT2時間 ≧ 200mg/dL、随時 ≧ 200mg/dLのいずれか
- HbA1c ≧ 6.5%
-
- 血糖値とHbA1cともに糖尿病型を満たした場合:糖尿病と診断。
- 血糖値のみ糖尿病型の場合:糖尿病の典型的な症状や糖尿病網膜症を認めれば糖尿病と診断。そうでなければ再検査し、血糖値とHbA1cの糖尿病型の基準をどちらかでも満たすようなら糖尿病と診断。
- HbA1cのみ糖尿病型の場合:再検査し、血糖値とHbA1cともに、あるいは血糖値のみ糖尿病型であれば糖尿病と診断。
- 要は、少なくとも血糖値が糖尿病型を満たしていることが必須。
糖尿病は全身様々な血管の障害を引き起こし、様々合併症を引き起こす病気と言えます。合併症予防のためにはHbA1c7.0未満を目標とします。(なお、治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。)
高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれも、生活習慣の改善や薬物治療を行い、目標値達成を目指します。
メタボリックシンドロームという概念
内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪型肥満)により、複数のリスクファクター(脂質・血圧・血糖のうち2つ以上)をもっている状態をメタボリックシンドロームと言います。心血管疾患発症リスクが飛躍的に上昇します。40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が該当するとされています。
診断基準
必須条件:
ウエスト周囲長 男性85cm以上/女性90cm以上
下記3項目のうち2つ以上を満たす
- 脂質 高中性脂肪血症150mg/dl以上 かつ/または 低HDLコレステロール血症 40mg/dl未満
- 血圧 収縮期血圧130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧85mmHg以上
- 血糖 空腹時血糖値110mg/dl以上
高尿酸血症・痛風
血清尿酸値(血液中に含まれる尿酸の濃度)が7.0mg/dL以上の場合に高尿酸血症と診断されます。尿酸は水に溶けにくい性質があり、高尿酸血症の状態になると結晶化するようになります。この結晶が関節にたまると強い痛みを引き起こすことがあり、これを痛風発作といいます。足の親指の付け根に激痛をきたす、あの痛風です。高尿酸血症は遺伝要因と環境要因がさまざまに積み重なって発症します。肥満、アルコール摂取、肉類や内臓類の摂取、激しい筋肉運動、果糖の摂取、ストレスなどがリスクとなります。また高尿酸血症は慢性腎臓病の発症や進展、尿路結石の頻度増加とも関連しているとされています。高尿酸血症はメタボリックシンドロームの診断基準には含まれていませんが、メタボリックシンドロームを有する頻度が高く、周辺徴候であるとされ、動脈硬化性疾患との関連も言われています。
生活習慣病を包括的に管理
当院では、これら生活習慣病を包括的に管理することに取り組んでいます。血液検査(外注)や血圧脈波検査、頸動脈エコーなどで動脈硬化性疾患のリスクを評価しながら、生活習慣の改善や薬物治療にともに取り組み、疾患予防を目指しましょう。健康診断の結果についても、アドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
ブログでは高血圧、脂質異常症、糖尿病について、さらに詳しく取り上げていますので、ぜひご覧ください。